OTOGI Rock'n'rool
 


なんとなく歩いて、着いたのは真崎くんの高校の前

そういえば、真崎くんに初めて会ったのはここだった。

学校祭にステージで一人で歌っていた真崎くんに、あの時私は恋をしたんだ。



「……………っ」



なんでだろう

真崎くんのことを考えると、意味もないのに涙が出そうになる

必死に目に力を入れて、校舎を見つめた。



「お、白木じゃんどうした?」

「え?」



隣から声がして振り向けば、塁くんがいた。



「あ、えっと…ちょっと、通りかかって…」

「そーなんだ、俺は今ちょーど部活終わり」

「へぇー、遅くまでやってるんだねぇ」



塁くんと話していると、校門からぞろぞろと他の野球部の人達が出てきた。



「わっ、オンナだ!」

「まじで!?え、塁の彼女!!?」

「えー、俺らさぁ、この後飯食いに行くんだけど一緒に行かねぇ?」



ずらっと坊主頭の男の子たちが私達の周りを囲む。



「行かねぇって、それに彼女でもないし」



塁くんがそう言って男の子たちを追い払う。



< 124 / 166 >

この作品をシェア

pagetop