眼鏡君は今日も不機嫌
――――ドキン。
と、不覚にも胸が高鳴ったのが分かった。
レンズ越しから見える目は、眩しさのせいか目を細めているけどキラキラと輝いて…サラサラと舞う髪。
…………もしかして本田君って―――
「………美少年?」
「はい?」
「あ、桜の花びら入ってきてる!
3階まで届くんだあ〜」
「……………」
気が付けばいつもの彼。
スタスタと足早に歩き、もうドアの近く。
「何で顔さらさないの?」
「答える必要はないです」
「絶対モテるのに」
ドアに手をかけていた本田君はクルリと振り返り、あたしを見た。
「学生の本業は勉強です」
そう言って帰って言った。
「あ、日頃のこと謝るの忘れてた」