紅き天
「きゃあっ、怖いって!」


「大丈夫、落とさねーよ。」


「でも怖いもん!」



しがみつく静乃を安心させようと背中を叩いてやると、



「駄目、手を放さないで!
落とすかもしれないでしょ!?」



凄く怒られた…。



ちょっと悪戯心が働いて、フッと静乃を下に下ろしてみたり、上げてみたりした。



「いやああぁぁぁっ!!!!!」



期待通りの絶叫。



疾風はクスクス笑って部屋に入った。



「馬鹿、下ろして!」


「やだね。」



笑いながら疾風が首を振ると、静乃はバタバタと暴れ始めた。



「ただでさえ恥ずかしいんだからね!」


「うるさいなぁ。」



まだ騒ぐ静乃の口を無理矢理塞いだ。



「んッ………ッ。」



途端におとなしくなる。



可愛い奴。



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