紅き天
疾風は紙を懐にしまい、掃除に戻った。



「静乃、俺今夜出かける。」


「わかった。
夕飯は食べていくの?」


「ああ、もらう。」



えへへ、と笑って静乃は疾風の隣に並んだ。



「なんか、結婚出来たらこんな感じかな?」



少し、心がほぐれた。



「かもな。
…もっと甘甘かもな。」



言って、疾風は静乃を抱き寄せた。



「なあ、夕飯までちょっとこうしていないか?」


「いいよ。」



竹箒を物置に片付け、静乃は疾風の手を取った。



「部屋でダラダラしていよっか。」



静乃の優しさが染みる。



疾風は静乃を抱き上げて階段を上った。



< 199 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop