紅き天
何だろう?



開くような音だったけど、ここは二階。



誰も入ってこれるわけがない。



兇手なら出来るだろうけど、まだ早い時間にそんなことをすることはないだろう。



不思議に思いながら起き上がってみると、そこには



「照日…!」


「久し振りだねぇ。」



ニヤリと笑う照日がいた。



「どうして…。」


「お前がここにいるからさ。」



一歩、近づく。



反射的に静乃は後ろにずった。



「お前が城から逃走してくれたおかげで殿様はカンカンだ。
私のほうにも怒りがまわってきてねぇ。
お前にも責任があるなんて言い出したんだ。」



お前を連れ帰るよ、と照日は素早く静乃の手首を掴んだ。



「嫌ッ!」


「こっちが嫌だよ。
わざわざこんなところに来させられて…。」





< 265 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop