紅き天
両親は照日を一度も名前で呼ばなかった。



それだけ悪い相手なのだろう。



照日…。



どういう女なのか。



静乃は怖いながらも、興味が湧いた。



でも、生き長らえた命、大切にしなくては。



…疾風。



疾風と過ごせる時間も増えたという事だ。



明日、罰は何か言い渡される。



もし軽いものなら、町へ誘ってみよう。



一度くらい自分から誘うのもいいかもしれない。





静乃は着物を脱ぎながら、疾風との時間を考えた。



おやすみなさい。



そう小さく呟き、白み始めた空を無視して眠りについた。






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