紅き天
「あれは昔からどの殺し屋もかなわない。」



伝蔵は眉間にシワを刻み、言った。



「どの事件にも自分が関わった形跡を残さないから、表沙汰にならないんだよ。」



つまり、闇の策士というわけか。



「あれの事は、もう忘れろ。
見ても関わるな。
幸い、お前は面が割れていない。」



はい、と静乃は返事を返した。



「よいか、決して深追いするでないぞ。」



基子は静乃の顎に手をかけ、念を押した。



「はい。」


「今夜はもう遅い。
部屋に戻りなさい。」



静乃は一礼し、襖を閉めた。





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