首筋、君の手が触れた。



境智晴は、

掲示板の前にいた。

佐倉茜よりも、

一時間早く。







『2年3組…17番…』

境智晴は呟いた。

誰もいないので、大丈夫。

彼は呟いた後も、しばらく、

クラス編成表を見つめていた。









彼の目は、

一点だけを見ていた。


決して、

他を見てはいなかった。


ただ、

一つの名前を見ていた。






そして彼は、

朝の光の中を、

教室に向かって、

歩きだした。






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