平安恋物語
月side


「父上、月です」


「入れ」


その言葉とともに、襖が開かれ、中に入る。奥座で書類に目を通している父の姿が目に入った。


「おぉ、待っていたぞ。もっと近くに来なさい」


どうやら機嫌が良いようだ。こんな時はいい話だったためしがない。


奥座の前に座り、父を見上げ、次の言葉を待った。








< 3 / 59 >

この作品をシェア

pagetop