【短編】しろ犬のしっぽ ~幾多の時間(トキ)を経て~
それから、

季節は廻り…



帰る術の無い…

ある日の夕方



私は、
白い子犬と一緒に
夕日の中を散歩に出かけた。


私が
ゆっくりと歩いていると、
子犬は、
まるで
自分で行き先を決めているかの様に、
どんどんと先へと進む。

そして、

途中途中に止まって、
私の方へと振り返る。


「ちゃ~んとついて行ってるよ~」



私が、
そう声をかけると、
子犬は、
理解したかの様に、
すぐに前を向いて進み始めた。


私は、
案内される様に、
子犬の後をついて歩く。



暫く歩くと、

綺麗な水の流れる
川のほとりについた。


「わぁ…」



思わず声を上げた目の前には、

満開に色付いた

牡丹の花



この場所がお気に入りなのか、

想い出の場所なのか、

白い子犬は、
牡丹の花の傍に
ちょこんとおすわりした。


そして、
体を伏せた。


「あっ、
お前の名前、『牡丹』だね。
この牡丹から名付けられたのかい?」


私は、
そう子犬に問い掛けながら、
傍らに座った。



静かな川のせせらぎ。



満開の牡丹の花に、

やわらかな風が吹いた…


< 21 / 34 >

この作品をシェア

pagetop