叶わぬ恋
「お子さんは?」

彼女が言った。


「うん・・・3才になる娘が一人。」


「そっか、きっと将来お嫁にやりたくないってなるね。」


「そうだね。可愛くってしょうがないって感じだよ。」



僕は、あえて父親の顔をして見せた。



それは・・・

自分の立場をはっきり自覚するため・・・

彼女と一線を引く・・ため




それから何を話したかも思い出せない。




どれくらいの時間が経ったか


気がつくと教会の中は薄暗くなっていた。





帰ろう・・・帰らなければ・・・




そう思った時

僕の気持ちを察したように



「あっ、もうこんな時間?
そろそろ帰らなきゃね。」



彼女が腕時計を見て言った。





また・・・会えるだろうか?




どうしてそんなことを思ったんだろう?




なにも・・・

望んではいけないのに・・・。

< 91 / 134 >

この作品をシェア

pagetop