叶わぬ恋
僕らは教会の前で別れた。


本当は同じ方向に帰るんだったと思う。


でも、あえて僕は彼女と反対の方向に帰る振り。




「じゃあ・・。」



さよならとも・・・

またねとも・・・・言えない





お互いに背を向け歩き出し



振り返りたい




でも・・・このまま別れるのが一番だと・・・





「総くん。」



ゆっくり


ゆっくりと歩みを進める僕の背に





「また会えるよね?」


彼女が言った。





振り返らずにいられなかった。



「うん。」




あっては・・・いけない


なんの約束もしちゃいけない

なのに



僕の返事に微笑んだ彼女が




僕は愛おしく・・・




あのころのまま・・・

< 92 / 134 >

この作品をシェア

pagetop