真夜中の太陽

・はじまり・



永輝に会いたくて、携帯の番号を押す。

でもいつも、最後の一桁が押せずに諦める。


あたしにそんな権利があるのかと思う。

好きだから、一緒にいたいから、会いたい。

そう思うことは勝手だ。

だけど、それを行動に移す権利なんて、あたしにはない。


そんなことが許されるのは、かんなさんだけ。

あたしじゃ、ない―――。



いつも以上に会いたいと思った夜、永輝は来なかった。

自分が一番会いたいと思った夜に来ない。

あたしはそれにただ耐えなければならない。



「………」



そういえば…。

ここ最近ポストを覗いていなかったなと思い、一階にある集合ポストに向かう。

< 120 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop