真夜中の太陽
使う主はもういなくなったのに、あたしはそれでも灰皿をきれいに磨いた。
きっといつか…使ってくれる時がくるんだ……。
いつか……。
――………?
灰皿で反射された部屋の電気の眩い光に、目を細める。
一瞬、何かを思い出したような気がした。
灰皿……。
永輝が使っていた灰皿……。
記憶を辿るけれど、頭にもやがかかって思い出せない。
あたし……、何か肝心なことを忘れている。
それも、永輝が関わっていることで……。