真夜中の太陽

番号が見えないように、その部分だけを折ってテープで留める。

メモをコルクボードに貼って店内に戻ろうとした足を止めて、一瞬、考えた。


あたしは番号が見えないようにテープで留めていた部分をはがして、誰からも番号が見えるようにして、もう一度ボードに貼り付けた。



わずかな、願いを込めて―――……。




「そういえばさ、結崎さん、辞めるらしいよ」

「えっ?」



店内に戻ったあたしに何の前置きもなく、突然、村岡くんが言う。



「ふーん、そうなんだ」



どうして辞めるの?

いつ、辞めるの?



聞きたいのに、平静を装う。



「今月いっぱいだって。前の会社に戻るらしいよ」

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