魔法の指先
『ねぇ、サラ。買い物あんまり出来ないかもよ?』
「え?なんで?」

キョトンと首を傾げる。

『ほら、こんなに混んでるでしょ?だから料理出て来るのいつもより遅いと思う』
「ぁ……そっか。そうだよね。こんなに混雑してたら買い物の時間なくなっちゃうね」
『でもサラは今日仕事じゃないんだし、1人で買い物しててもいいよ?鍵渡しとくし』

ガックリと肩を落とす彼女に私は言った。親切で言ったつもりなのだが、彼女はプクーっと頬膨らませご機嫌ナナメ。

「イーヤ!!心亜と一緒に買い物したいの!!」
『……そっか』

子供みたいに拗ねるサラが可愛かったなんて言ったら怒るだろうな。でもほんのちょっと嬉しかった。私と買い物したいって素直に言ってくれるサラに。なんだか、こそばゆい。

その後私たちは料理がくるまでの短い間色んな話をした。仕事のこと、向こうでの生活、これからのこと。

こんな風に彼女と話すのは何ヵ月ぶりだろう。お互い仕事が忙しかった為、連絡をとる余裕なんてなかった。だから突然、彼女が私の元に尋ねてきたのは酷く驚いた。それと同時に嬉しくもあった。また前のように彼女と一緒に過ごせるんだ、と。

「お待たせしました。こちら店長オススメパスタ、たっぷり野菜の春パスタでございます」

目の前に差し出されたパスタは名前の通り野菜が沢山使われていた。

「美味しそ~Vv」
『本当……』

一口、口に運んでみると柚子の香りが効いた塩味パスタが口いっぱいに広がった。女性好みのさっぱりとした味付けになっている。

「美味しい~Vv」
『さすが琢磨さんだね』

顔を綻ばせ、幸せそうに食べるサラにもこの味付けは口に合ったようで、大満足というのが一目でわかる。琢磨さんにも見せたいくらいだ。

私たちは会話を楽しみながらパスタを口に運ぶ。時間があっという間に過ぎてしまった。

『そろそろ行こっか?』

食事をした後にもデザートやら紅茶やら色々頼んでまったりしていたら、時計の針が1時を指そうとしていた。

「そうだね、つい長居しちゃった」
『買い物どうする?』
「う~ん、今日は見るだけにしようかな。ゆっくり買い物したいし」
『そ?じゃあ今度ゆっくり買い物しよっか』
「うん!」


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