ひまわり
あたしには、背中をさすりながら強く抱きしめる事しか出来なくて。
恭平は、それだけで十分だと微笑んでくれるけど、もっと、何か役に立ちたくて。
このもどかしさは、捨てる事が出来なかった。
「――莉奈」
ある日の放課後。
あたしは真由に呼ばれて、人気の少ない場所に移動した。
遠くでは部活の声も聞こえ、いつものゆったりとした時間が流れていた。
廊下はひんやりと冷たく、腰かけた階段からお尻にじんじんと冷たさが伝わってくる。
「どうしたの?」
めずらしく真面目な真由の顔を見て、あたしは遠慮がちに微笑んだ。
あまりにも静かで、真由が何かを言い躊躇っている呼吸が妙に響いた。
「莉奈……」
ようやく声を出したかと思うと、真由の眉間にしわが寄り始めた。