ひまわり


「もうすぐ、クリスマスだろ?
だから、プレゼント」
 

恭平が大きな手で、あたしの涙を拭ってくれる。


「そんな……あたし、なんの準備もしてきてない」

「ハハっ、いらねぇよ」

「でも――」
 

あたしが言葉を出した時、おもむろに恭平に抱きしめられた。
 

二度目の温かさに、とても心が落ち着いた。


「俺の眼、もしかしたら、クリスマスまでもたない気がするんだ。

だからさ、手遅れにならないうちに渡しておこうと思って、今日にした。安物だけどな」
 

恭平が笑ったのがわかった。
 

一時きつく抱きしめあった後、体を離し、また恭平の目に見つめられた。



「俺、まだおまえに言ってなかったよな」

「………」
 

恭平は鼻をかいて、照れくさそうに天井を見上げた。
 

恭平の言葉を待つ間、あたしの鼓動は忙しなく動き続けた。


「莉奈――」

「………」

「あー、あのー、なんつーか、えーと、
そのー、気持ちっつーか……」
 

恭平の泳ぐ目を間近で見て、笑っちゃいけないと思いながらも、堪えると肩が小刻みに動いてしまう。


「あっ、てめ、真剣な雰囲気の時に笑うなよ」
 

真っ赤になる恭平が可愛くて、からかってやりたかったけど、こんなこと初めての経験だったから、なにも言わずに恭平の言葉を待った。
 

そのあたしの態度に、恭平の目は泳ぎまくって止まる事はなかった。





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