pp―the piano players―

Widmung 4


 空港にピアノが置いてある。
 空港にあるストリートピアノだから「空(そら)ピアノ」と呼ばれている。

 酒井君と一緒にレンタカーを返して、みんなと合流しようとロビーに向かっていたら、酒井君にニーナさんから電話があった。酒井君は穏やかな声で、うん、Ach so(ああそうか)、 Und dann?(それで?)、ja(うん)、わかった、行くよ、とドイツ語と日本語がごちゃ混ぜになって相槌を打っている。
「ピアノのあるラウンジのところにみんないるって。空ピアノだ」
 わたしを見て、穏やかに声を掛けてくれる。

 一時間前、酒井君は、わたしの話を感情をあらわにしながらも聞いてくれた。
 酒井君がいたから、今のわたしがある。それなのに、わたしは酒井君の申し出を断った。謝ることはできなかった。
< 369 / 369 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

翼のない天狗

総文字数/74,510

ファンタジー224ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
時は平安―― 二つの「異形」の物語 希に見る美しい容貌をした清青は 天狗を父に、人間を母に持つ。 ある日、友の天狗、深山に誘われ 人魚の氷魚と出会う。 天狗と人魚、 別々の生き物である二人の出会いは やがてそれぞれの生き方を変える。
枕草子・伊勢物語

総文字数/6,328

その他20ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
『枕草子』 『伊勢物語』 古典文学に 自分なりの解釈と脚色を加えました。 完結としていますが、 適宜更新する予定です。 また、全てサイトのブログからの転載です。 詳しくは【マイリンク】an orchidへどうぞ。
皎皎天中月

総文字数/95,290

ファンタジー187ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
● 皎 皎 た り 天 中 の 月 万策尽きた薬師が出会ったのは 美しい兎とひきがえる。 大切な人を救うために 今、何が出来るのだろう。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop