時計塔の鬼
そっと聞くと。
そっと、その微笑みを深くされた。
大好きな、微笑みのはずなのに。
それはどこか……
寂しそうで
淋しそうで
哀しそうで……。
了承の証であるその微笑みから目を離せなかった。
「夕枝にだからさ。聞いてくれ、な?」
「……うん、きく……」
私の全てをその存在で占める愛しい鬼の懇願に、逆らえるはずもなくて。
聞かせて欲しい。
私の返事を聞いたシュウは、今にも泣き出しそうに笑って
一度、舌で唇を濡らし、語りだした。