時計塔の鬼
塔から校門まで、相当な距離がある。
けれども、俺には目の前で起こったように思えた。
ほんの数秒前に起こった光景の記憶をなぞる。
少女が跳ね飛ばされて宙を舞う間の時間だけは、やけにゆっくり過ぎたように思えて。
茜色の空の下、未だ冷たさを含んだ風の中、少女は校門の前の道路へと転がったんだ。
鮮明に見えていた。
「っ……!」
急いで塔から出ようと、連絡通路の側まで駆け降りた。
けれど、そこから先へ進むことは、叶わなかった。
「……っくそッ!!」
――ドンンッ…