時計塔の鬼
「ほんとに来たんだ」
また先客となっていたシュウからの第一声はそれだった。
「来いよって言ったでしょ?」
思わず小首が傾いで、昨日のことが頭に浮かんだ。
“また来いよ”
そう笑ってたのは、シュウだ。
「そうだった、な」
「自分で言っていたのに忘れてたの?」
「うん」
ぷくっと、頬に空気が入った。
けれど、満面の笑みを作ったシュウを見ていたら、溜め息が出てしまっていた。
しかも、呆れがにじんだ。