時計塔の鬼
思い返すと、確かに、と言わざるを得ない。
……口先だけの、協力の言葉だったんだ。
「……どうして?」
搾り出せた言葉は、またしても掠れてしまった。
けれど、田中君の耳にはちゃんと届いていたようで、悔しげに眉を歪めている。
この場で、再反論しないのは、認めたということと同じことだった。
どうしてどうしてどうして。
頭を巡るのは、やはりそれだけ。
わからなくて、不安が押し寄せる。
私の心は、自然とシュウを求めていた。
助けて。助けて。
知らず知らずのうちに、後ずさりしていて……私はすでに、時計塔の敷地に入っていた。
「どうしてか、なんてことがわからないんですか?」
暗くて黒くて低くて、怖い声で訊かれた。
そんなの、わかるはずがない。
私が一体何をしたというのだろう?
「わかるわけ、ないでしょう?」
精一杯の意志で、強く強く、睨みつけた。
泣いてはだめだ。
泣いてしまったら、壊れてしまいそうな気がする。
負けては、だめだ。
「好きなんですけど?」
「意味がわからないわ」