時計塔の鬼
そんなの、告白なんかじゃない。
衝撃的な言葉に思ったのは、私じゃなくて、むしろ、周りだった。
「はぁ? 何言ってんのあなた」
「ちょっ、あゆ……、田中っ! お前、それ本当か?」
「…………」
「本当です。一目惚れして、目で追ってて、それでつい、いつの間にか……」
「そんで、気がついたらストーカーしてたっちゅうことなん?」
諦めたように頷いた田中君を見て、みかんちゃんは「最低……」と吐き捨てた。
ふいに、懐かしいような、泣き出したくなってしまうような、そんな気に襲われた。
なぜなら――。
「お前、許さねぇからな」
突如、背後から包まれた温もりに、怒っているような低い声。
よくよく知っているはずの、けれども聞いたことのないようなそんな声音。
鋭い響きを伴って囁かれた音。
「シュウ……」