時計塔の鬼
「鬼といっても、できることなんてそんなに多くはねぇんだよ」
シュウは視線は相変わらず街並みに向けたまま、唇を尖らせる。
「例えば?」
「ん~……まず、この時計塔からは出られないこと。これが、やっぱ一番不便だな」
「……本当に出られないの?」
そんなことが、果たして本当にあるのだろうか。
思ったことが顔に出ていたらしい。
偶然こちらを振り向いたシュウが眉根を寄せていたから。
「こんなことで嘘なんか言わねぇよ」
「そっか」
「ついても意味ないだろ?」
「うん」
ひとまず、納得した。
本当に出来たのなら、待ったりなんかしなかったとシュウが言ったから。
それを信じてみようと思った。