キミノタメノアイノウタ

「あれ?奏芽、もう来たの?」

「瑠菜、誰だよこいつ」

居間に立ち尽くしていた俺の後ろからひょこりと顔を出した瑠菜は、暑い暑いと呟きながら台所に行って、人数分のコップと冷茶を持ってきた。

「兄貴の友達だよ。昨日から家に泊まってるの」

「侑隆さんの友達?」

奏芽と呼ばれた少年はまだ警戒をといてくれそうにない。今度は俺が尋ねる。

「彼は?」

「タツの従兄弟の奏芽」

瑠菜はごくごくと喉を鳴らしながら、美味しそうにお茶を飲み干した。

「は?」

(……従兄弟?)

奏芽くんは従兄弟にしてはタツさんに似過ぎている。ふたりの違いと言えば、明るい茶髪と、日に焼けていない肌の色、身長くらいのものだった。

「やっぱり、初めてだとびっくりするよね」

瑠菜がわかってると言わんばかりに、うんうんと頷きながら俺の肩を叩いた。

「タツも呼ぼうか。タツとふたりで並んだ方が絶対、面白いし」

渋い顔をしていた奏芽くんに気づいているのか、いないのか。

瑠菜は意気揚々とタツさんに電話をかけたのだった。

こうして開催された“間違いを探せ!!~従兄弟編~”は俺の感嘆の声から始まったのである。

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