魔女の瞳Ⅵ
玄関には見慣れないヒール。

やっぱり、誰かがこの洋館に入っている。

信じられない。

外には結界が反応した形跡もなかった。

洋館の中に入っても、侵入者の魔力の残り香さえ感じられない。

全く痕跡を残さない侵入者。

どれ程の凄腕だっていうの!?

廊下を走りながら、私は呪眼を発動させる。

遭遇と同時に戦闘になる可能性もある。

『強化』の魔術と障壁も行使する。

完全な臨戦態勢。

その上で、玄関から一番近い部屋…応接間に飛び込む!

「あらあら賑やかね…メグ」

応接間のソファ。

そこに一人の女性が座って読書を楽しんでいた。

胸元の大きく開いた黒いドレス。

長い黒髪。

白い陶磁器のような肌。

見た目30歳にも見えないこの若々しい女性が、実年齢1000歳近いと言った所で、一体誰が信じるだろう。

「久し振りね…私の可愛いメグ」

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