魔女の瞳Ⅵ
第二章
「え…?」

幸せだったほんの数秒前が、嘘のようだった。

虚空に再び魔方陣を描き始めるお母様を。

「ちょ、ちょっと待って!」

私はしがみついて止める!

「な、何よメグ…」

目を丸くして、お母様は可愛らしい表情で私を見る。

こんなあどけない顔をして、そんな恐ろしい事をやるとは思わなかった。

「お母様、修内太を…彼を人外化するって…!?」

「…?」

お母様はわからないといった顔をする。

「当たり前じゃないの…修内太君は人間なのよ?」

「そ、それはわかっているけど…でも…」

今にも泣きそうな顔をする私に、お母様の表情が一変した。

母親の顔じゃない。

冷酷で、狡猾で、計算高い魔女の貌…。

「人間と魔女が交わった所で、血が薄まって魔力の低い半端者が生まれるだけ…デッドゲイトの血を絶やさない為には、修内太君が人外となって、高い魔力を持つ世継ぎを作る必要があるのよ」


< 21 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop