魔女の瞳Ⅵ
差し向かいに座ったお母様が、ひどく遠くにいるように見えた。

私と同じ魔女。

私と同じ闇の世界を歩んできた先輩。

私の一番の理解者。

そう思っていたお母様が…お母様が…。

「さぁ、メグ。修内太君をこちらに引き渡しなさいな」

手を差し出すお母様に。

「!」

私は修内太を庇うような姿勢で立ち上がった。

「…メグ…」

お母様の声のトーンが一段階下がる。

子供に向かって語りかける声色ではない。

明らかに格下の相手に対しての、ドスを効かせた声。

「お母様…」

私は修内太を庇ったまま、真剣な眼差しを向けた。

「私はお母様を尊敬しています…私に魔術の基礎から叩き込み、呪眼を与え、魔女としての全てを与えてくれたお母様…私が『稀代の魔女』とまで呼ばれ、この魔道の世界に君臨する事ができたのも、全てお母様の指導があったからこそでした…」

でも…いや、だからこそ。

私は呪眼に魔力を注ぎ込む。

「そんなお母様が人間に手をかけるような真似をするのは、見過ごせません」

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