【短編集】communication
「ちょっと、きて。」


私の手首を掴むとどこかへ向かった。


「あ、あの....」


「......。」


着いた先は、屋上だった。


「わりぃな。あそこじゃ話になんなかったろ?」


ふと、考えるとそうだった。


彼の周りには女子がたくさんいた。


「それで....」


私は、まったくわからなかった。


「ヘレナってさ。」


急に呼び捨て?


「俺のこと知らんのな。」


「友達がさっき名前は教えてくれました。澄人くんって。」


「くんはいらないよ。呼び捨てがいいな。」


「あの。なんなんですか?」


澄人の行動がまったく理解できなかった。


「俺、君を守りたいんだけど。」


真剣にいう澄人。


「なぜ?」



「君が好き。」


「冗談?あなたの周りにはたくさんいるじゃない?」


私の頭の中には?ばかり。


「俺は、君が好きだから守りたい。それじゃダメか?」


「守るって?」


またもや?が。


「男子からいじめられてんじゃん。」


「あなたに関係ないわ。慣れたもの。」


男なんて嫌い。
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