【短編集】communication
それから、時は経ち。


高校一年生の時、愛される事を知った。



それが今。


私は、好きじゃない人とつき合いはじめた。


彼の想いが嬉しかった。


彼は、私を救ってくれるんじゃないかって。


勝手に決めて。


まさか、あの時と同じ状況になるだなんて思わなかったんだ。


今度こそ幸せになれるって。



今、彼氏の瑛太と下校中。


「流香。」


突然、抱きついてきた。


瑛太は、甘えん坊。


それは、私にだけなんだけどね。


ほかの女子には冷たい。


まあ、彼女の特権って事だね。


そんな瑛太の態度に。


八つ当たりされるのは、私だった。


クールながらもリーダーシップをとるのが得意な瑛太。


頼りがいのある兄貴みたいで、クラスで力を発揮していた。


そんな彼を見て好きになる子は多々いた。


だから、告白も日常茶飯事。


私にとって、それは優越感じゃなく苦痛だった。


昔みたいに小さい胸の痛み。


チクチクと針でつつくような小さな痛み。
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