中学最後の夏休み《短》
「ほら! 帰るぞ! そういう警戒心は俺以外の男に持てばいいから」
そんな恥ずかしいことを言いながらもう一回ナツの前に右手を出す。
すると少し笑いながらナツは俺の手をすっと握ってくれる。
その瞬間、俺の顔は自分でもわかるくらい熱くなった。
「拓?」
立ち上がりながら話しかけてくるナツ。
「なんだよ?」
熱くなった顔を見られたくなくてナツとは逆の方を見ながら返事をした。
「私あのゲームがしたい。変なスライムみたいなのが落ちてくるゲーム」
「ああ……」
恥ずかしくてナツの方が見れないまま、少し強引にナツを引っ張って歩き始めた。