抱けないあの娘〜春〜



トレーニング室のドアをノックする。



「…高村です。」




「おう、入れ。」



「失礼します。」




80キロのベンチプレスを汗だくになりながら上げている諏訪キャプテン。



隆起した筋肉が以前と比べてかなり大きくなっているのがわかる。



「あの…坂出からキャプテンにここへ来るようにと言われて来たんですが…」



キャプテンは黙ったまま、タオルで汗を拭き、ミネラルウォーターを飲んでいた。




椅子にドカリと座り、静かな声で



「高村。可奈って女知ってるか?」





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