抱けないあの娘〜春〜
さつきと可奈の提案で、僕達四人は昼食を一緒にすることにした。NOとは言えない男達はしぶしぶそれを了承した。
端から見れば普通のダブルデートに見えるだろうが…
内訳は似てない双子の姉弟、散々揉めて別れた元カップル、部活の先輩後輩の上下関係が入り交じった非常に面倒くせー状態なのである。そんなことをまるで気にしてない彼女達を横目に、僕と諏訪キャプテンは小さなため息を吐いた。
パーク内のレストランに入り、さつきと可奈を先に席へ座らせ、僕と諏訪キャプテンとで注文する列へ並んだ。
「高村。なんだか…邪魔して悪かったな。」
「い、いや、そんなこと無いっすよ。さつき…さんも何だか嬉しそうだし。で…あの…この状況、聞いてもいいですか?」
「う…あまり言いたく…ないが、お前には説明しないとだからな。今日は俺とさつきの誕生日だろ?で、偶然が重なり試合が休みだし。」
「はい。大事な時期なので不謹慎かとは思ったんですが…お陰で僕はこうやってさつきさんとデート出来ましたが…何故諏訪さんが可奈と?」
「俺は今日一日自主トレするつもりだったんだが…いきなりあの女が寮にまた乗り込んできてだな。さつきから聞いたんだろう、誕生日なんだから出掛けようよと玄関で騒ぎだして…他の部員に見つかる前に外に連れ出したらいつの間にかここに来てた。あいつは魔法使いか何かなのか?」
と頻りに首を傾げてる。
硬派で鉄壁の信念を持つ諏訪キャプテンが、可奈に完全にペースを狂わされ、ここまで振り回されてることが可笑しくて、僕は思わず吹き出してしまった。
「笑うな!!」
顔をさらに真っ赤にして、思い切りど突かれた。