抱けないあの娘〜春〜



「あ、あの…ね、私…こういうことされたこと無いから…どうしていいか分からないの…」



純白の君。



僕が誰にも触れさせない。


「ごめん。僕…焦りすぎだよね。ゆっくり行こう?ずっと大切にするから。」



コクリと頷くさつき。



「さっきのホームラン、さつきのお陰だよ。力をありがとな。」



「私が力?」



「これ…」



僕はポケットから、さつきのハンカチを取り出した。



「あの時の…私のハンカチだ…」


「ハンカチ返しそびれちゃっててさ。でもこれ、お守りとして試合に持ってきてたんだ。それと、さつきがスタンドで必死に応援してくれてたお陰。」



またさつきは涙を潤ませて…




< 51 / 208 >

この作品をシェア

pagetop