抱けないあの娘〜春〜
「あ、あの…ね、私…こういうことされたこと無いから…どうしていいか分からないの…」
純白の君。
僕が誰にも触れさせない。
「ごめん。僕…焦りすぎだよね。ゆっくり行こう?ずっと大切にするから。」
コクリと頷くさつき。
「さっきのホームラン、さつきのお陰だよ。力をありがとな。」
「私が力?」
「これ…」
僕はポケットから、さつきのハンカチを取り出した。
「あの時の…私のハンカチだ…」
「ハンカチ返しそびれちゃっててさ。でもこれ、お守りとして試合に持ってきてたんだ。それと、さつきがスタンドで必死に応援してくれてたお陰。」
またさつきは涙を潤ませて…