桃川中学校吹奏楽部
窓の外を見る倉本君

髪の毛が風に揺られていた。

 
高い背

日焼けした肌

野球少年らしい腕

丸坊主じゃないけど

適度な短髪

 
ぜんぶ

だいすき

 
「と、いうわけでこれに書いてくださいー」


先生がそういうと

 
まずクラスの分担人数きめだった。

係りはいっぱいある。

 
「うちのクラスって何人?」

倉本君がたずねてきた

「知らない」

「なんでわかんねーんだよ」

 
「だって数学嫌いだし」

「それって理由じゃねえじゃん」

そういって倉本君は笑った

乃亜ちゃんの前では

 
こんな笑顔

 
いっぱい見せてるんだよね

 
「まあー34人だよなぁ?」

「まあそのくらいじゃない?」

 
なんだか素直になれない

 
胸の奥で自分が悪魔と戦っている

 
もっと素直になれれば

 
なんかこんなそっけない態度しなくていいのかな

 
昔からそうだ

 
あたしは素直じゃない。

 
「てか、字ぃきたない」

私がいたずらのようにいうと

「うるせー。男はこのくらいでいいんだよ」

 
「ほんと?」

 
そういって私達は笑った

 
すごくすごく

 
楽しい時間だった
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