シェイクとルシア~黒き銃を持つ二人~
 母は来るが見えなくなるまでシェイクに手を振り続けていた。車が見えなくなって手を下ろすと隣には父がいた。


「行ったのか?」


「ええ。行きましたよ」


「なんか言っていたか?」


「よろしくって。あと健康に気をつけろって」


 後半は言っていないが気を利かせたつもりでいる。ああ見えてシェイクは強情な部分が強い。これは父親の影響なのかもしれない。


「まったく……。余計な御世話だ」


 そう言うと父は自分の店に戻って行った。ゆっくりと歩いて店の中に消えた。


「まったく。うちの男連中は」


 母はもう一度シェイクが走って行った道を見ていた。いつかまた戻ってくると信じて。
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