platonic
第一章


小学生の頃

あたしはずっと
家族さえも
ずっとずっと
客観的に見ていた。


愛されていないと
幼い心は
単純に勘違いして
すれちがってばかりだった。


家族はずっと
会話なんてなかった。
祖父は
あたしを殴った。
母は
病弱な妹ばかりを
可愛がっていた。
父は
言葉を無くしたような人だった。

帰る場所はあったのに
帰りたい場所が無かった。

小学5年生

新しいクラス。

そんなあたしの前に
あなたは現れたね。


無口なあなたは
黙っていたけど
なぜか惹かれんだよ。

はじめて
もっと話をしたいと思ったの。
はじめて
もっと一緒にいたいと
ただ単純に思っていたの。















ねぇ。
ひろ?
出会った頃のあたし達のこと
まだ覚えてる?

あなたは無口で
でも何故か強くて人気者で
ジャイアンみたいだった。

あたしは陽気でお喋りで
でもやっぱり
あなたみたいなタイプは苦手だった。

なのにね
あんなにすぐに惹かれあって
不思議だったね。

きっと
思い出すことなんかもう無いよね。
だからあたし一人の
大切な思い出でいいんだ。
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