イヴ
―あなたは私を愛してくれていました





オレはうつむいたまま顔を上げることはしなかった。





―大事にしてくれました





狂ってるのかこいつ。なんだか怖くなってきた。





―あなたの話もたくさん聞きました





「うるせぇ!さっきからなんなんだよ!オレは人を愛したことなんて一度もない!頼むからもう消えてくれ!一人にしてくれ!」





―わかりました





―ただ…私は人を愛したことはありますよ





―でもその思いを告げられぬまま死んでしまった





―もっとも、その人にもし愛を告げることができたとしても、それは愛と呼ばないのかもしれない





―私、人間じゃないから





「え?おい待て!どういうことだよ!」





しかし、それ以降いくら呼んでもイヴが答えることはなかった。
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