パパとママだけのヒミツのお話
「今日はありがとう」
本当はこんなこと
この子には絶対に言わないけれど。
「ううん。あたしこそ、聞けて良かったよ」
メイが笑顔で私に笑いかける。
「これから学校なの?」
「うん、部活に入ったの」
あの頃より少し伸びた髪を揺らしながら
楽しそうに話す。
そっか。
どうやら結構楽しんでるみたいね。
「今度はユウちゃんも誘って3人で会おうね」
別れ際、そう言ってメイは走って駅に向かって行った。
つい最近まで同じクラスにいたとは思えないくらい
あの子の背中はまだ幼い。
だけどきっとあの子だって苦労している。
育児や家事。
学校生活も。
楽しい事ばかりじゃないはず。
それなのにいつも絶やさない笑顔や
素直な心を持っているあの子は
きっと私の周りのどの女の子よりも強いかもしれない。
いつか私もあんな風になれるのかって言うと
実は自信があるわけじゃない。
だけど彼となら
苦労もきっと楽しいんじゃないかって
そう思ってる。