夏海(15)~ポケットに入れてるだけの電話が勝手に電話することってあるよねー

結芽様のカメラ

あたしは、彼のシャツを見て瞬時にアレをやるって決めた。
あたしのつま先には、凡人に有り得ない跳躍力が潜んでる。
……そう、あたし特別なオンナの子、なんだから☆

不敵に笑うあたしを男はぽかんと見つめる。

迷いなく一歩踏み込むと

あたしのスカートが花びらのようにふわり持ち上がり、

真っ白な、
……だけどちょっと黄ばんだ、レースのついた三角ゾーンで釘付けになる男の顔を

あたしの少し汗ばんだ太ももで正面から挟み込む。


(はん、毛の処理の仕方がガキなんだよ……)

男があたしの足を振り解こうとするより先に、

そのまま男の股の間めがけて、潜り込むように体をひねって反らした。

(ま、まさか!……このアマッ!)

慌てる男はそのままバランスを崩し、

地面から足が離れ体が持ち上がっていく。

あたしの髪が、

部屋の中を180度舐めて。

甘酸っぱいシャンプーの香りが漂い。

秋が

構わず熱唱する、秋の姿が


田舎の大都会が




逆さまになった。


男はあたしの太ももに首をとられたまま、

ゆっくりと空を舞い、
そして

肩から強く打ちつけられ着地した。


『ち、ちくしょう。この技は…… 』

だが男は最後負け惜しみか

『かけられる奴の、ぎ、技術の方が、ハァハァ……た、高い事、覚えておけよ!!』

と捨て台詞を吐き、気を失った。


……ふん。ほんとはシャイニングウィザードでイカせたって

よかったんだから☆
ね!


秋の歌が、終わった。

< 36 / 69 >

この作品をシェア

pagetop