夏海(15)~ポケットに入れてるだけの電話が勝手に電話することってあるよねー

このメスブタ。


見覚えがあった。



この大きなメスブタは

なぜかキズだらけだった。



「おまえも1人か?」


あたしはブタのうるんだ目を見つめた。

ブタは一瞬ビクッとおびえたような表情になったが

目を閉じてゴロンと仰向けになった。


「ワタシも1人なのだ。」


抱き合ってこっそり豚小屋の隅で泣いた。




遠くの方で西子は見ていた。


西子は、

そのブタってさ、あんたにシメられてからすっかり自信なくしちゃってボスの座からは転落しちゃうし、若いブタには、なめられちゃうしでさ、メチャクチャいじめられてんだからね。モウ!

と頬をふくらました。



とにかく一日中涙が止まらず、
夜もずっとふるえながら、夜遅くまで

涙は止まらなかった。


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