男前な彼女




前から思っていた。


大和の家は一人暮らしにしては大きい、ということを。



こんなに大きいマンションに、高校生が一人暮らしなんて…贅沢だと思う。


…でも、両親と住んでいる様子はない。





もしかして、前は両親と住んでたんだけど、交通事故とかで両親が亡くなったとか…?





――なーんてね…





おそらく、考えすぎだろう。


訳あって離れて住んでるだけかもしれないし…






「なぁーに、キョロキョロしてんだよ」




おぼんに乗せたお茶を運びながら、大和が言う。




「俺の家がそんなに珍しいか?いつも来てるのに」


「いや、そういう訳じゃないんだけど。…高校生の一人暮らしにしてはマンションが豪華だなぁ、と思って…」





あたしがお茶を受け取りながら言うと、大和は驚いた顔をする。





――あ……




やっぱり両親に何かあったのかな?


聞いちゃいけないことだった?








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