男前な彼女




「…………」



ふと、上牧の動きが止まる。





「……え?」





もう、なんとなく覚悟を決めていたあたし。



突然ピタリと動きが止まると拍子抜けする。


まさか、『やっぱり止める』なんて言い出すんじゃないだろうな。



そうなってガッカリするのは多分…あたしだ。








「咲夜」


「…ん?」





上牧が顔の位置をそのままで声を出すから。


首筋に息がかかって少しくすぐったい。










「俺がいなくなったら、寂しいか?」


「……え?」






唐突なその問いに、固まる。



まるで“もうすぐいなくなる”と言われてるみたいだ。




いや、あたしの大和への想いを確かめたいだけかもしれない。










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