男前な彼女




「なんとか頑張ってはいるんだけど、あのおどおどしたところはどうしても直らなくて……」




はぁ…、と深くため息をつく南。



本当に大変そうだ。


無理もない気がするけど。






「『その性格直さないと、チョコあげない!』とでも言ってみようかなぁ……」


「それは可哀想じゃない…?」





浦河のことだから泣き出すんじゃないだろうか。



――いや…さすがにそれはないか?





それに、そんなこと言ってても、多分南は今のままの浦河の方が好きなんじゃないのかな…?


確かに、もうちょっとしっかりした性格になってほしいとは思ってるんだろうけど、

あんまり変わりすぎると南は『不満だ』と騒ぎだすと思う。






「ねぇ、それより…ずーっと気になってたんだけど…」


「ん?」


「詩織は好きな人とかいないの?」





今まであたしの方を向いていた南の視線は詩織へと動く。






――詩織の、好きな人…




それはあたしも気になる。


詩織はそんな話、一度も自分からしたことなかったし、こっちから聞いたこともなかったから。









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