ウソ★スキ
何度か、キラは話してくれた。

「2人きりで過ごす夜は怖かったんだよー」って。

笑顔で。
まるで懐かしい思い出話でもするように。

……あたし、馬鹿だ。

自分はキラのことを一番理解してるって思ってたくせに、ホントは何も分かってなかった。


キラは、こんなにも苦しんでいたのに──。



あたしが鼻をすする音に気がついたソラが、繋いでいた手を離すと、

「ありがとう、俺たちのために泣いてくれて」

そう言って、その手で優しくあたしの肩を抱いてくれた。



「……ソラは怖くなかったの?」

「もちろん怖かったよ。だけど俺は、キラを守らないといけなかったから、怖いなんて言ってられなかった。キラを抱きしめながら『俺は強いんだ』って、ずっと自分に言い聞かせてたんだ」


ソラは、あたしの肩をぐっと抱き寄せて、こう続けた。


「キラを守れるのは自分だけだ。……そんな気持ちを、恋だと錯覚したのかも知れない」

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