ウソ★スキ
キラの部屋は、不自然なくらい綺麗に整理整頓されていた。

ベッドのシーツも、皺がまったくないくらいピンと張られている。


そこには、ソラの姿も、名残も、何もなかった。


「……ソラは?」

あたしが聞くと、キラはいつもの笑顔で言った。

「美夕が書斎に入ってすぐ、自分の部屋に帰ったよ」


……あぁ。そういうことか。

こんなこと、今回が初めてっていうわけじゃないんだ。

あたしにそんな嘘をつくのなんて慣れっこなんだ。



あたしは、キラの気持ちがよく分からなくなっていた。


≪私からソラを奪って!≫


あれは、キラの本音だったの?



……それとも、そうやってあたしを使って、

決して揺るがないソラの気持ちを再確認したかっただけなの?




あたしはその日、最後まで、キラの前で笑うことができなかった。




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