ウソ★スキ
画面の向こうのキラがあたしを睨みつけて、「ソラは私のモノだ!」って訴えている。



あたしは、キラがあたしに『ソラを誘惑して』って言ったときの言葉を思い出していた。



『このまま続けたって、私たちの将来に幸せはないんだよ?』

『腕組んで歩いたり、みんなに堂々と彼氏紹介したり、お嫁さんになったり…………そういうこともしたいんだよ』

そう言って、キラは涙をためた瞳で、あたしを真っすぐ見つめたんだ。


ペンションでキラは、『あのときのことは全部演技だった』って言った。

だけど──あれだけは違う。
絶対に演技なんかじゃなくて、キラの本心だ。


「だからって、こんな形でやっちゃうなんて」


涙で携帯の画面が滲んで、2人の顔が見えなくなっていく。


「……大馬鹿だよ、キラは」



──ねえ、ソラ。

こんな大変なときでもソラに、キラに二度と触れて欲しくない、キラを見つめて欲しくないって思うなんて、


あたし、わがままなのかな?

これ以上望むのは、贅沢なのかな?


こんなあたしに、ソラの彼女でいる資格があるのかな?



泣き声を必死に殺していたけれど、それももう限界だった。

今なら人目を気にする必要はない。


あたしは、声をあげて泣いた。






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