ウソ★スキ
あたしの声に驚いて、ソラが部屋から飛び出してきたけれど、
「来ないで!」
あたしはソラの方を振り返らずに、ゆっくりと階段を下りた。
下を向いて一段一段下りるたびに、靴下が赤く染まっていく。
ドアを蹴ったときに爪が割れたみたいだ。
──痛い。
足に体重をかけて階段を下りるたびに疼くその痛みも、靴下に滲む血も、どんどん大きくなっていく。
だけど、涙は出なかった。
こんな痛み、どうってことない──
階段下に心配そうな表情で立っている奥さんに一礼して外に出ると、家の前では先輩が待ってくれていた。
先輩は
「ちゃんと話せた?」
って、あたしにヘルメットを差し出しながら原付にエンジンをかけたけれど、
「……ごめんなさい、今日だけ1人で帰らせて下さい」
あたしは軽く会釈をすると、俯いたまま、足を引きずりながら先輩の前を通り過ぎた。
先輩も、あたしの足の異変に気付いているはずだけど、無理に追いかけてこようとはしなかった。
──ごめんね、先輩。
先輩は悪くないって、頭では分かっているのに。
でも。
先輩も、
キラも、
あたしからソラを奪おうとする人はみんな、嫌いだ。
だけど、
ただ泣くばかりで、そんな流れに逆らえない自分は、
もっともっと、大嫌いだ──。
「来ないで!」
あたしはソラの方を振り返らずに、ゆっくりと階段を下りた。
下を向いて一段一段下りるたびに、靴下が赤く染まっていく。
ドアを蹴ったときに爪が割れたみたいだ。
──痛い。
足に体重をかけて階段を下りるたびに疼くその痛みも、靴下に滲む血も、どんどん大きくなっていく。
だけど、涙は出なかった。
こんな痛み、どうってことない──
階段下に心配そうな表情で立っている奥さんに一礼して外に出ると、家の前では先輩が待ってくれていた。
先輩は
「ちゃんと話せた?」
って、あたしにヘルメットを差し出しながら原付にエンジンをかけたけれど、
「……ごめんなさい、今日だけ1人で帰らせて下さい」
あたしは軽く会釈をすると、俯いたまま、足を引きずりながら先輩の前を通り過ぎた。
先輩も、あたしの足の異変に気付いているはずだけど、無理に追いかけてこようとはしなかった。
──ごめんね、先輩。
先輩は悪くないって、頭では分かっているのに。
でも。
先輩も、
キラも、
あたしからソラを奪おうとする人はみんな、嫌いだ。
だけど、
ただ泣くばかりで、そんな流れに逆らえない自分は、
もっともっと、大嫌いだ──。