ウソ★スキ
そして。
まるでその時を待っていたかのように。

旦那さんの話が終わると同時にお店のドアが開いた。


「ただいまー!」

まず聞こえてきたのは、奥さんの声。


その声に鋭く反応した旦那さんが、さっと手を伸ばしてあたしの手元にあったスケッチブックを取り、カウンターの奥に隠す。

あたしも、奥さんに背を向けてそっとハンカチで涙を拭った。


「美夕ちゃん、よく来てくれたわね……」

奥さんは、温かい笑顔であたしを歓迎してくれた。

だけど5年前にはふっくらしていたその顔は、随分やつれていて。

少し薄くなった髪には白さが目立っていて……。


この5年で奥さんは本当に苦労したんだって、改めて思ってしまった。



そして奥さんの後ろにもう1人違う気配を感じで、あたしは慌てて入り口から視線を逸らした。


ソラだ。


……心臓が激しく早い鼓動を繰り返す。

ドクンドクンって高鳴る胸。

その音はとても大きくて、まるで体中が心臓になったみたいで。


奥さんのすぐ後ろに、ソラがいる……。


「全くもう、喫茶店のくせに砂糖を切らすって、どういうこと?」


──間違いない。

それはソラの声だった。





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